サツマイモの栽培は簡単です。栽培期間は長いのですが、ポイントさえ押さえておけば後は、ほとんど放任しても大丈夫です。
サツマイモの育て方【栽培のポイントを箇条書きしました。石灰は?元肥や追肥?連作障害】
抑えないといけないポイントを箇条書きしておくとこのようになります。
- 土に石灰は入れない
- 元肥もいらない
- 植えつけ方を選択
- 追肥するかしないか見極める
- ツル返しする
- 収穫のタイミングを見極める
- 寝かせる&貯蔵する
詳細については本文で詳しく解説しています。コンパニオンプランツと病害虫については本文第4章からです。。。。もくじから飛んでください。。。
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サツマイモの育て方【家庭菜園の予備知識編】
サツマイモ栽培の基本情報
野菜の種類 | 科目 | 適正土壌酸度 | 株間 | 連作障害 | 栽培難易度 |
サツマイモ | ヒルガオ科 | ㏗5.5~㏗6.0 | 30㎝~35㎝ | なし | ★★☆☆☆ |
サツマイモ栽培の概要
日照条件 | 日なたを好む |
生育の適正気温 | 25℃~30℃前後 |
発芽温度 | 20℃~30℃前後 |
水やり | 乾燥気味に育てる |
肥料 | 栽培初期は追肥の必要がない |
種まき時期 | 差し芽(ツルを切ったもの)を植え付けて育てるのが一般的 |
植え付け適期 | 5月~6月頃 |
収穫時期 | 10月初旬~12月初旬ごろ |
定植から収穫までの期間 | 110日~150日前後 |
開花から収穫までの期間 | 花はめったに咲かない(本州) |
植物の概要【サツマイモ】
名称 別名など | サツマイモ 薩摩芋 甘藷(かんしょ) |
科目属名 | ヒルガオ科サツマイモ属 |
原産地 | 中央アメリカ |
分類 | 多年草 |
樹高 | 300㎝~500㎝くらい(地上部)つる性 |
その他特徴など | 肥大した地下茎を収穫する |
サツマイモの育て方【家庭菜園の実践編】
サツマイモの栽培カレンダー
サツマイモの土と畑を準備する
苦土石灰や消石灰は必要?
結論から言うと微妙なところですが、どちらでもいいようです。
土壌適正酸度は㏗値5.5~6.0と弱酸性の土壌を好みます。
サツマイモは弱酸性の土壌を好むので、石灰は入れすぎないように注意してください。石灰を入れる場合は、栽培の2週間くらい前までに苦土石灰や消石灰を軽く入れて中和しておきましょう。苦土を施肥する必要もないので石灰は入れなくてもいいくらいです。入れるなら少量にしましょう。
堆肥と元肥は必要ですか?
サツマイモは多肥料になるとツルボケを起こしやすい野菜です。どちらかというとやせた土を好みます。
堆肥と元肥は必要ありません。
通気性に富んだ水はけのよい環境を作りましょう。
畑で栽培する場合は畝を作って水はけを良くしておきましょう
幅60cm~70cm高さ20㎝~30㎝ほどの畝を作ります。畝を作ると水はけがよくなります。
農薬を使う場合
ネキリ虫などの土中にいる害虫の被害を予防するために農薬を使う場合は、マルチをかける前に土に直接、ネキリベイトかダイアジノンを適量混ぜておきます。ネキリベイトとダイアジノンはサツマイモに対応している。
畝ができたらマルチを敷いて地温を上げておきましょう
畑で栽培する場合黒色のマルチを敷いておくと地の温度を上げてくれるので定植後の成長が促進されます。また黒マルチは光を通さないので雑草の繁殖を防いでくれます。値段は少し上がりますがシルバーマルチもあり、こちらはアブラムシなどの光るものを避けて行動する一部の害虫の接近を予防する効果があります。
サツマイモは真夏の野菜です。この時期は放置しておくとすぐに雑草が生えて手に負えなくなるので黒マルチは必須です。
サツマイモの差し穂を準備する
苗は園芸店などで差し穂を購入します。差し穂は長さが15㎝~20㎝くらいで節が4から5節あるものを選びます。
サツマイモの定植方法
サツマイモの定植方法はいくつかありますが、今回は家庭菜園で比較的簡単に行える3つの方法をご紹介します。
垂直植え
垂直植えは、棒を垂直に挿して植穴を開けて苗を挿す方法です。丸い芋が出来やすく収穫量は少なめです。
斜め植え
支柱などの棒を地面に斜めに挿して穴をあけ、あけた穴に苗を指して植え付けます。垂直植えよりも斜め植えのほうが一般的で、細長い芋ができます。収穫量も垂直植えよりも斜め植えのほうが多いのが特徴です。
船底植え
水平植えの要領で苗を寝かして、苗の両先端を徐々に上向けにカーブさせながら寝かします。まるで船底のカーブを描くように寝かせてください。サツマイモは苗の下につくのですがが、カーブしている分サツマイモが実るスペースが広がります。収穫量は一番多いとされているのでスペースの限られている家庭菜園ではおすすめです。
サツマイモの株間
さつまいもはつる性の植物で、草丈3m~5mくらいの長さに成長します。畑で栽培する場合は多くのスペースが必要です。
地上部は長く伸びますが、地下部はサツマイモが干渉しあわない程度で栽培できるので株間は30㎝~35㎝取れば大丈夫です。
サツマイモの株間:30㎝~35㎝
株間についての予備知識として
株間は野菜を植え付けるときになやむ要素の一つです。株間は野菜の特性によってさまざまで、だいたいはその野菜の成長の仕方や草丈、横にどれだけ広がるかによって変わってきます。
植物の根張りの広がり具合は、地上での広がりがそのまま地下でも展開されていると考えてよいとされています。要するに地上で横に広がっている枝の先端と同じあたりまで根が張っているとゆうことだそうです。
サツマイモの土寄せ
サツマイモの栽培では数回、除草作業を兼ねて軽く土寄せをするのですが、マルチをしているときは土寄せを省略しても構いません。
サツマイモの追肥
追肥は必要ですか?
ツルばかり育って肝心な実がならない現象をツルボケと呼びます。サツマイモはツルボケしやすい野菜です。
サツマイモには追肥の必要はありません。ただし、
肥料切れのサイン
基本的には必要ないのですが、葉が黄色くなってきたら肥料切れのサインです。サツマイモの葉をよく観察して、黄色くなってきたなと思ったら追肥してください。多肥料にならないように肥料は少量づつ様子を見ながら与えましょう。
サツマイモ専用の肥料があればいいのですが、ない場合は普通の化成肥料などを使います。
肥料の基礎知識
ツルボケは肥料の3大要素の中のチッソ系の養分が多すぎることが原因で起こります。
サツマイモの栽培には、リン酸とカリ系の養分は必要で、リン酸系養分は栽培初期にしっかりと根張りさせるために、またカリは実を作るのに必要です。特にカリに関しては、暖効性の肥料などを使って、うまく全期間に吸収できるようにすると実成が良くなります。
葉が黄色にならない限り追肥の必要はありません。
サツマイモの水やり
地植えの場合通常は水やりの必要はありません。まりに日照りが続いたら、その時は軽く水やりしてあげましょう。乾燥気味に育てるのが基本です。
サツマイモのツル返し
サツマイモの栽培に特有で非常に重要な作業の一つがツル返しです。
サツマイモのツルが伸びて、しばらく地面と接していると、葉の付け根から新しい根を出していきます。サツマイモは根が肥大したものなので、地面を這うツルの所々から出た根にもサツマイモを作ろうとしてしまうのです。
あちこちに根が張ってしまうと養分が分散して、十分な大きさのサツマイモが収穫できないのでツル返しして、根張りを防止します。
ツル返しの手順
定期的に伸びたツルを持ち上げて地面から離し、ひっくり返します。ツルの端を手にもって、引き上げて反転させて葉の上にのせておいてください。
手順は簡単です。
- 先端を持つ
- 引き上げる(根をはがす)
- 反転させる
- 葉の上に置く
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、こんな感じにひっくり返します。
↓
サツマイモの収穫
サツマイモもまた収穫時期の判断が難しい野菜です。
収穫時期の判断
収穫が早すぎると、大きな芋が取れず、遅れると芋は大きくなりますが、色が悪いサツマイモになります。
植え付けた日付けから逆算して収穫予定日あらかじめ予定しておくと便利です。通常は110日から120日ぐらいで収穫できますが、品種にあった栽培日数から収穫する日を、だいたいでいいので決めておきましょう。
収穫の1週間前の作業(甘いサツマイモを作る方法)
収穫の1週間ぐらい前にツルを切っておくと、でんぷんが増してより甘いサツマイモが収穫できます。
収穫は晴れた日の午前中に行う
収穫は晴れた日に行います。
畑に半日寝かせておく
腫れた日の午前中に収穫して、そのまま畑にしばらく寝かせておいて、サツマイモの表面がしっかり乾いてから保存してください。
サツマイモの保存方法
サツマイモのの主成分は炭水化物ですが、収穫後すぐのころはまだ、でんぷん状態で甘くありません。
でんぷんを糖化させるために収穫後1から2週間ほど貯蔵してから食べると甘さが増します。
また、低温で糖化させると腐りやすくなるので冷蔵庫で保存することはできません。更に、15℃を超えるくらいから芽が出始めるので、11℃~14℃くらいで保存するのがベストです。
サツマイモは収穫後も呼吸しているので密封してしまうと腐りやすくなります。新聞紙にくるんで段ボールの箱などに入れておくと比較的長く保存できます。
サツマイモの害虫
アブラムシ
アブラムシは春から夏の終わりごろまでに飛来して繁殖する害虫で、ほとんどの野菜に被害を与える害虫の代表的存在です。小さな個体が群集している様子がものすごく気持ち悪いと感じる方が多いと思います。
アブラムシの駆除方法
アブラムシにもたくさんの種類がいて、ナスにはたくさんの種類のアブラムシが寄生します。いずれも株のエキスを吸引し、ウイルス性の病気を媒介するので駆除が必要です。
テントウムシの成虫はアブラムシを食べる益虫ですが、テントウムシがいることはアブラムシもいるということになるので注意してください。
無農薬で栽培する場合はガムテープで除去したり、牛乳を散布して窒息死させたり、木炭や竹炭を作る際に発生する煙の成分を冷却して得られた水溶液である木竹酢を散布したり、黄色い粘着力のある札を作物にぶら下げたり、銀色のマルチや光テープで囲ったり対処の方法はたくさんあります。
手に負えなくなって薬剤の散布を考える場合、ベニカベジフル乳剤、スミチオン乳剤、ベニカ水溶液などが有効です。
サツマイモにはスミチオン乳剤、ベニカ水溶液、ベニカマイルドスプレーがそれぞれ対応しています。どうしても被害がひどく、薬品を使う場合は適量散布してください。
アブラムシ駆除のお方法は別の記事に詳しく記載したいと思いますのでそちらの記事を参照してください。
ネキリ虫
昼間は土中に潜んで夜になると地表に出てきます。地表の茎をかじっ足り食いちぎったりする害虫です。
ネキリ虫の駆除方法
耕しているときや掘り返しているときに出てきたら捕殺しておきましょう。被害が確認されたときはカブの周りを掘り返して出てきたら捕殺します。
薬品で予防する場合は、ネキリエイトとダイアジノン粒剤が対応しています。
ヨトウムシ
アブラナ科の野菜が好物のヨトウムシですが、アブラナ科だけでなく多くの野菜を食い荒らします。
蛾の幼虫ですが昼間は株もとや土中に潜み、夜になると地上に現れます。だいたいは茶系の芋虫で中型から大型です。3㎝くらいから6㎝くらいのところでしょうか。
ヨトウムシの駆除方法
昼間は土中にいることが多いので駆除するのが難しく、また姿が見えないので出没していることすら気づかないことすらあるくらいです。見つけ次第捕殺することがおすすめです。虫の姿がないのに葉が虫食まれている状態を見たら土中にヨトウムシが潜んでいることをまず疑ってください。
コナジラミ
草花や野菜に広く寄生する小さな害虫です。一か所に無数に生息して一度に飛び立ちます。葉の裏に寄生して養分を吸い取るため葉がかすり状になり植物のお生育が悪くなります。放置しておくと野菜や花草を枯らしてしますこともあります。
コナジラミは植物の汁を吸って飛来するのでアブラムシ同様ウイルス性の病気を媒介したり、排せつ物の上にすす描画発生して葉や果実を黒く変色させる厄介者です。
コナジラミの除去方法
アブラムシ同様大量に発生したら無農薬での除去は難しく木竹酢や牛乳などを使用するか、ベニカマイルドスプレーを使います。ジャガイモにはベニカマイルドスプレーが対応しています。
ハダニ
ハダニはコナジラミやアブラムシと同様に葉の裏などに寄生して樹液を吸引する害虫です。梅雨明けから夏場に多く繁殖して被害を与えます。非常に小さく単体では見つけにくいのですが、数が増えてくると白くカスリ状に見えるので、この時点で被害に気付くことが多いので予防しておくことが大切です。
ハダニの除去方法
サツマイモのハダニ予防にはベニカマイルドスプレーが適応しています。
ケラ
ケラはコオロギの中まで見た目はかわいいのですが、野菜の茎を地際から食害します。雑食の昆虫で益虫のミミズを食べたり土中の根を食害するので駆除しておいた方がいいでしょう。
ケラの駆除方法
見つけたら捕殺してください。ケラは湿地に生息していますので畑の排水性を上げてジャガイモに適した乾燥気味な環境を作ってあげましょう。
サツマイモの病気
ここでは代表的なものを記載することにします。いずれの病気もかかってしまってからの対応よりも常に予防しておくことが大切です。
予防としては、植え付け前に石灰や有機たい肥を多用して、健全なアルカリ性の土を作ることと、株の風通しを良くして害虫の除去をしっかりすることです。
①有機たい肥や石灰でしっかりした土作り
②剪定で風通しの良い環境を作る
③害虫を駆除してウイルスの媒介を予防する
うどん粉病
うどん粉病はウリ科の野菜などを中心に広く発生するウイルス性の病気で、葉に白い斑点が出て放置しておくと葉が真っ白にうどん粉をまとったようになっていき、いずれ枯死してしまう怖い病気です。ひどいときは隣接する他の植物にも感染して被害を広げる場合があるので早めの対策が必要です。ウリ科の植物だけでなく多くの植物に発生する怖い病気です。
うどん粉病の対策
うどん粉病が毎年発生するような場合は発生前からの予防が大切です。うどん粉病になる前に消毒薬を散布しておくことが大切です。
サツマイモにはベニカマイルドスプレーが対応しています。
つる割れ病
ウリ科植物の連作障害として有名な病気ですがサツマイモにも被害を及ぼす病気です。土壌酸度が酸性になると発生しやすくなります。肥料がチッ素過多になると発病を助長し、梅雨時などの雨が長く続いた後に空気が乾燥した時に日以外が大きくなる病気です。葉が所々で日中しおれて最終的には株全体が枯死してしまいます。
つる割れ病の対策
つる割れ病が発生したらすぐに撤去してください。土中に病原菌が残るのでしばらくの間連作は避けて、薬品で消毒する場合はベンレート水和剤を1週間に1度の割合で3回くらい畑全体に流し込みます。
サツマイモのコンパニオンプランツ
サツマイモと相性のいいコンパニオンプランツ
赤しそ
赤しそには、過剰な肥料分を吸収してつるボケを防ぐ効果があります。
また葉の赤色が、サツマイモを食害するアカビロウドコガネの接近を妨げる効果があります。
エダマメや落花生のマメ科野菜
サツマイモの株間にエダマメや落花生を植えると互いのお生育を助け合い収穫量を増す効果があるとされています。
サツマイモと相性の悪いコンパニオンプランツ
ナス
ナスなどとは必要水分量が違いすぎるので混植することはできません。
サツマイモの前作に適している植物
ヒルガオ科の野菜はほとんどなく、サツマイモは連作障害の出にくい野菜です。どんな野菜の後でも大丈夫ですが、残留肥料が多い野菜だけ若干気を付けてください。
ナスや白菜などのアブラナ科野菜の後作にはあまり向きません。理由は残留肥料が多く、ツルボケしやすいからです。
サツマイモの後作に植えると良い野菜
アブラナ科の野菜
キャベツ、白菜、カリフラワー、ブロッコリーなどのアブラナ科野菜はサツマイモの後作に適しています。
サツマイモはア収穫時期が遅いので、アブラナ科の植え付けには少々遅いかもしれないで注意してください。
ニンジン
玉ねぎ
玉ねぎは11月植え付けることが出来るのサツマイモの後作に丁度良い野菜です。
トウモロコシ